団長日記

C2008年5月19日(月)C
【理由〜まじめに〜】
今から10年以上前の話です。

高校生の私は一人の女性に出会います。
そして。恋をします。

「私は歌手になりたい」

ひなびた漁港に吹く潮風が彼女の短い髪を揺らす時。

「なら、おれも」

彼女の気を引きたい一心の言葉でしょうね。あの時は、私も若かった。

「芸能の世界に行く」

「そうすれば一緒に」
いれる、という言葉は流石に言えないけどね。いくら若くてもさ。

「そうすれば一緒に仕事できるね」

約束、でした。淡い恋心を結ぶか細い糸。
男ていつでも物語の主人公と錯覚している生き物です。

それから、私はアメリカに行きます。そこでラジオに出会います。

アメリカから帰って来た時。彼女はその漁港にはいませんでした。彼女もまた夢を追いかけ。

私の「ラジオ」人生が始まります。正確に言えば「放送」人生が。

挫折とぬか喜びの毎日でした。極度の人見知り。病的なあがり症。致命的な滑舌の悪さ。

でも、「約束」がありました。あの潮騒がBGMの約束が。

宮崎で6年。
関東に出てきた私は、とあるテレビ局で音楽番組を担当する事になりました。


結構人気番組らしいですが、私には退屈な毎日。しかも「ラジオ」と「テレビ」の畑違い。

落ちるように流れる時間の中で。私の中で「約束」が薄れていく中で。

番組最終回。

これを機にラジオに戻ろう。ごった返す人混みで見上げた空は澄みきって。

最終回の台本。

最初のページ。

出演表の二番目。

彼女の名前がありました。

驚き、です。それしかないです。それは彼女も同じだったようですが。

彼女は歌手になってました。

「約束」の糸は切れることなく。あのときと同じように方言で話す彼女。潮風ではなくビル風が彼女の頬をなぜる。

でも、不思議なもので、あんまり話さなかったですな。

私はラジオに。
今に至る、感じですか。

彼女はというと。
どうしてるか知りません。たまに彼女のCDを探しますが、見あたりませんね。
ま。どこかで元気よく歌っているでしょう。

彼女は「約束」を覚えていたのか?

どうでしょうね。またどこかで偶然出会えたら。聞いてみたいと思います。宮崎弁でね。

「縁」

それってあるんですね。
ひょっとしたら月光団もそれが絡みあって出来たのかな。

え?まだその恋は続いているのかって?
それはまた別の機会に、、、

5/19^00:24
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