Short Story

お酒と馨と悲惨な光
1/1ページ目



「鏡夜先輩ー」


光が珍しく鏡夜先輩へ話しかけている。



いつもは極力距離をおいていた(面倒くさいから)のに…。



光と鏡夜先輩が話すのを見て思う。


まぁ、僕は光みたいに子供じゃないからヤキモチなんてやかない。
何してるんだろな、と思い耳をたててみたけど話の内容は聞き取れなかった。



「なに馨、盗み聞き?」


ふと声のした方を見れば、ハルヒが意地悪そうな笑顔でこちらを見ていた。


「うん、ちょっと気になってね」

「認めちゃったよ」


僕の言葉にハルヒも二人に目を向ける。


「確かに珍しい組み合わせではあるね」

「でしょ、ちょっと気にならない?」


しばらく二人を見ていたが、ずっと話ているだけで、何をしてるのかさっぱり分からなかった。


「ねぇ、もう諦めない?紅茶でも飲もう」

「そうだね……」


そう言いつつも、まだ光と鏡夜先輩のことが気になっていた。









「光、さ」

「ん?」


家に帰るなり、光にあのことについて聞いた。


「今日…鏡夜先輩となに喋ってたの?」


そう言ってから顔が熱くなった。


こんなの、ヤキモチやいてるみたいじゃん!!




光は、あ〜、と言ってビンを取り出した。


「これこれ、お酒だよ。ほら、僕がお酒飲んでんのバレてから手にいれにくくなったからさ、親にあげるためって嘘ついてもらったんだー。馨も飲む?」


なんだそんなことか、と思う反面、お酒なんてダメ!!という自分もいる。


けど、そんなこと言って嫌われたくない。



「馨?」
「僕は…いらないや……」


精一杯のダメだというメッセージ。
光はしばらく黙った後、ふっと微笑んだ。



「ありがとう、じゃあちょっとだけにするね。馨にはフルーツのジュースでも持ってくるね」


光がパタパタと下に降りていく。
もう、と思ったけど気づいてくれて嬉しいとも思う。


「はい、どうぞ」


光がお盆にコップを二つのせてきた。


「ありがとう」
「うん。あ、ちょっとトイレ行って来る」


光が行ったのを見送り、オレンジのコップのジュースを飲み干す。
ふぅ、とベッドに寝っころがって………


ふと目を覚ますと、心配そうだけどニヤニヤしてる光と目があった。


けど、なんか歪んで見える…。


体を起こそうとしたら光に押さえられた。





「ちょ、何さ」
「何さじゃないよ、バカッ。何で馨イッキ飲みなんかしたの!!」


我ながらバカな兄だ。
僕がイッキ飲みなんかするわけがないじゃないか。
けど、このクラクラは一体なに…?


僕の近くにあるグラスを見てみると空になっている。
もう一つのグラスにはフルーツジュースが入っていた。
え、えーと……



「もう、馨も意外と抜けてるんだから」


光がクスクスと笑う。


光に言われたくない、なんて今は言えない。
これは完全に僕のミスだ。


「もう、心配かけさせないでよ。ま、まぁ、たまには良いかもしれないけど」


そう言う光の頬は明らかに赤くなっていた。


嫌な予感……。


「ね、僕、なんかした…?」
「うん。僕の言ったことはなんでも聞くし、どっか行こうと舌足らずに、行かないで、て言うし、それに」


「もう止めてッ!!」



反射的に出たビンタは見事光の頬をもっと赤く染めました。
めでたしめでたし。


「あの、痛いんだけど…」
「知らないー」
「僕が飲ましたわけじゃないのに…」


光が言うことはもっともだけど……。
まぁ、たまにはいいや!!






[指定ページを開く]

章一覧へ

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ