Short Story

君を好きな彼と君が好き
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「ねぇ、お肉安くてもいいよね?」



隣にいるハルヒが恐ろしく安く見た目の悪い肉を持って僕に聞いてくる。さすがに光ほど口も悪くないし、曖昧に微笑むだけして黙っておくことにした。ハルヒはそれを見て、じゃあいいや、とカゴへと入れて野菜のコーナーに行く。

今はハルヒと僕とで晩御飯の買い出しに出かけている。大富豪で運悪く負けてしまった僕と、たとえ運が良くとも負けていたであろうハルヒに下された命令は晩御飯の調達。殿がまたまた鍋が食べたいと言い出したので(どこまで好きなんだよ)、大貧民のハルヒと貧民の僕で買い出しに出かけたのだ。

しかし、ハルヒのさっぱり性格には本当に驚かされる。なんと言っていいのか分からないが、とにかく普通の女の子とはまるで違う。服も部屋着ではないかと思わせるようなTシャツにジーパン、コートも安そうな素材を使っているのか、とても貧相だ。しかし、ハルヒが着ると不思議と可愛く見えるのが不思議だ。それに、スーパーに来たというのにお菓子には全くなびかず、野菜のコーナーで生き生きしている。全く、不思議な存在だ。光が好きになったのが分からない。
(ちくりと痛む心よ、消えてよ)



「…ちょ、ハルヒ、大根入れるの?」


安売りしている大根を手に取るハルヒに思わず言ってしまう。いや、鍋に大根って…


「いいじゃん、お肉は高いし」
「……お肉少なくない?」
「はいはい、光みたいなこと言わないの。大根のほうが体にいいよ、安いし」


そう言って大根を丸ごと二本も買う。いやいや、全部鍋に入れたらもう何がメインか分からないよ。
そんなことも気にせず、次のコーナーへと向かうハルヒに置いていかれないように着いていく。







「あ、漬物が安い。馨さ、お漬物好きだっけ?」
「え、まぁまぁかな」
「あ、そう」


そうして手にもっていた漬物ともう一つ別に漬物をカゴに入れる。


また次のコーナーへと向かうハルヒを立ち止まり、見つめる。





やっぱり、ハルヒに勝とうなんて無理だよ。
だって、僕にはあんな気遣いできない。多分、山芋の漬物のことを覚えていたんだろう。


あぁ、光がハルヒになびくのも無理はないよな。
ハルヒさえいなかったら…




ハルヒの後ろ姿を見つめる。



けどね、





君を好きなと君が好き






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